読書タイムイズマネー

読書で学んだこと体験したことをブログで綴ります

尾原和啓著「プロセスエコノミー」を読んで

尾原和啓著「プロセスエコノミー」を読みました

この本のメインの内容は、既存の売り方=完成された商品を売る(アウトプットエコノミー)から、過程を売る(プロセスエコノミー)へ移行するやり方が書かれています

 

日本の経済を支えてきたものは、世界で最も良いモノを作る事でした

いわゆるメイドインジャパンですね

 

しかし、ウェブの発展により、あらゆる情報が瞬時に世界へ広がってしまう現代では、例え良い商品を作っても、すぐに似たような商品がライバル会社から発売されてしまい、新たな商品は瞬く間に一般的な商品へと変わってしまいます

 

これは飲食店でも同じことが言えて、以前は飲食店に当たり外れが多かった記憶があります

しかし、ここ数年は美味しくなかったお店に行った記憶がありません

どこのお店も及第点の味の料理が出てきます

味で勝負するなら、突き抜けるレベルで美味しくないと、他店からの差別化ができなくなってしまいました

 

これは、あらゆる商品にいえることですし、クリエイターにも同じことが言えます

技術面をウリにできにくい世の中になってきたという事です

 

そこで、売るべき対象を変える、完成された商品ではなく、その商品ができるまで、飲食店が繁盛するまで、クリエイターが作品を作る工程を、ビジネスにしようというのが、プロセスエコノミーです

 

これは、何らかのSNS(発信媒体)を使って、発信をしている人ならピンとくるとは思いますが、発信することで応援する人が得られる、またたくさんの人が発信することにより、自分が興味のある第一人者の方たち発信から一流の技術や心情を見たい・学びたいという思った方は多くいると思います

 

これまでの世の中は、発信する側と受け取る側に断絶があり、マンガなら書く側と読む側にハッキリと分かれていました

 

SNSで発信することのハードルが下がった現代では、1億総発信者であり、1億総クリエイターの時代になりました

 

作品を発表するプラットフォームが手軽に扱えて、一流でなくても自分の作品が見られる時代なら、自分自身の物語をオープンにすることで、売れる前からファンを獲得することが可能になりました

 

一般人にとっては、ファンを獲得する過程が「プロセスエコノミー」であり、一流の人にとっては、作品が作られるまでの過程が「プロセスエコノミー」になるのです

 

日本が遅れている大きな理由は、ヒエラルキーの上部にいる決定権を持つ人たちが、この「プロセスエコノミー」を理解できないというのは要因として大きいと思います

 

アウトプットエコノミーで、日本は発展してきた国なので、ここからの方向転換は、アウトプットエコノミーに浸かっている時間が多い人ほど難しいものです

 

だからこそ、モノを売るサラリーマンは特に「プロセスエコノミー」を自分のものにできれば、他社と差をつけることができるし、新たなビジネスの土壌を手にすることができます

 

未だに、プロセスエコノミーへの移行が上手くいっていない会社が多い中、どれだけ早く移行できるのかが、カギになるのではないでしょうか

 

というのも、フェーズとしてはこのプロセスエコノミーも最新のものではないからです。時代の流れは早く刻一刻と変わっている世の中で、プロセスエコノミーすら理解できていないと、もはや手遅れになってしまうくらいに世界から置いていかれる可能性があります

 

ぜひ、社会人の皆さんはこの「プロセスエコノミー」を読んで、実践して、自分の養分にしましょう

 

落合陽一著「超AI時代の生存戦略」を読んで

落合陽一著「超AI時代の生存戦略」を読みました

 

 

こちらの本が発行されたのが2017年です

 

内容はこれから起こるであろう、すでに起こりつつある未来

AIが日常で当たり前になるであろう未来に向けて、変えて言った方が良いマインドセットと働き方・生き方についての提案がかかれています

 

副題にあるシンギュラリティに備える34のリストが物語るように、現代は産業革命以降に起こった近代から情報革命が起こりインターネットを中心にAIという、これまでの枠組みを壊すテクノロジーを実装する過渡期です

 

これまで当たり前にあった学校・会社・日常生活といった枠組みが破壊されて、新たな枠組みが再構築され始めている

 

これまでの人類史でたった三回しか起こっていない革命の真っただ中に私たちは生きています

 

農業革命・産業革命・情報革命が三大革命で、間違いなく今後の人類史で注目される時代が現代です

 

インターネットが誕生する以前の生活を思い出せる人はどれくらいいるでしょうか?

インターネットが存在しない世界を創造できる人はどれくらいいるでしょうか?

 

我々の生活を一変させたインターネット。さらにスマホの誕生により私たちは24時間ネットに繋がる生活を送るようになりました

 

20世紀は映像の世紀と言われ、映像技術が発達し、テレビを代表とするマスメディアから情報を得る時代でしたが、21世紀は映像の世紀からインターネットの世紀へ。そして、AIの世紀へと向かっています

 

副題にあるシンギュラリティとは技術特異点で、人工知能(AI)が人類の能力を超えることを意味しています

 

AIが生活に組み込まれる状況をどこまでリアルに想像できるかが、これからの世界を具体的に想像できるかとかなりイコールになっていくんだろうと

 

とは言え、これまでになかった状況を想像しようというのは、とても難しいことだと思います

 

重要なのは、この本に書かれているような事が実際に起こるかもしれないと想定しておくこと。時代の流れを知る努力をし、今ある日常が数年後には当たり前ではなくなっている可能性があるということを曖昧でもいいから想像しておくことです

 

これまでの社会の枠組みが壊れてきていて、全く違う枠組みで再構築されているという世界だという実感がないと、この本を読んでもふーんで終わってしまいます

 

特に物心がついた時からスマホがない世代は、スマホ以前と以後でどれだけ世界が変わったのかをリアルに実感してみてください

 

テレビといったマスメディアから情報を得ていた世代は、SNSにより全個人が発信できる時代に変わり、テレビよりもyoutubeが見られている時代の変化そのものに焦点を当ててみてください

 

時代はほんの20年前から様変わりしています。スマホが誕生した2007年あたりと比べても様変わりしています

 

世界は急速に変わりつつあります

 

その変革を次のフェーズに連れて行く技術がAI技術です

そして、その変革はすでに始まっており実装段階に入りつつあります

 

実装段階に入ってからの変化はより急激に起こるのではないかと

スマホが誕生してわずか数年で生活にはなくてはならないものになりました

 

時代の波に乗るためには、乗るための準備が不可欠です

 

「超AI時代の生存戦略」はこれからを生きるための指針となる本ではないでしょうか

 

本の内容にはほとんど触れませんでしたが、AIに対して漠然とした不安を抱える方にはオススメの本です

 

かなり濃い内容で、34のリストのどれが刺さるのかを確かめてみるのもイイかと思います

 

堀江貴文著「ハッタリの流儀 ソーシャル時代の新貨幣である「影響力」と「信用」を集める方法」

堀江貴文著「ハッタリの流儀 ソーシャル時代の新貨幣である「影響力」と「信用」を集める方法」を読みました

 

 

堀江貴文さんことホリエモンの著書は、基本的に書かれていることは終始一貫していて、切り口の違いにより読者に刺さる部分を変えています

 

「ハッタリの流儀」に関して言えば、ハッタリという切り口から書かれているもので、内容をザックリと説明すると、出来るか出来ないか分からない事でも、「出来る」と言い切り、走りながら辻褄を合わせていけというものです

 

他者にツッコミを入れている時間があるなら、盛大なボケをかまして、その発したボケに対して熱狂する姿を見せることで、ボケに近づく姿を見せていくことで、「影響力」と「信用」を得ていく

 

ホリエモンでいうと、安価な民間ロケットを飛ばすと言い切り、実際にロケットを飛ばすというものです

 

ハッタリとは無謀な夢を掲げて、その夢を実現させていく姿を発信することで人を巻き込んでいく

 

誰かに対して「ツッコミ」を入れるのではなく、自分自身が行動する(ボケる)方が今の時代は圧倒的に得だと言っています

 

好きな事に熱狂し、その熱が人を巻き込む

 

注目を集めている人たちは、無謀とも言える夢を公然と言い放ち、夢を現実にするべく日々の努力をして行く

 

動いたもん勝ちというのがホリエモンの終始一貫した主張です

 

ボケるというくらいなので、最初はバカにされるくらいがちょうどいいと

予定調和の夢では熱狂は生まれないし、人を巻き込む熱が生まれない

 

とにかく動け

 

これはハッタリの流儀だけでなく、多動力でもゼロにも書かれていることです

 

ホリエモンの本を読んだことがない人はタイトルから一番気になるものを読むのがいいのかなと思います

 

ハッタリの流儀に関しては、プレゼンにおいてのハッタリのかまし方が書かれているので、営業やこれから事業をしたい人にはオススメです

 

そして、この本にはさらなる実験がなされており、光本勇介著「思考実験」で始めた本を購入後にマネタイズポイントを持ってくる

 

本の最後にQRコードがついていて、そこからある種のクラファン的なものにアクセスできるようになっています

 

個人的にこの本を書いた理由は、本の中身よりもこの実験をしてみたかったからなんじゃないかと

 

本の内容の濃さならば、「ゼロ」や「多動力」の方が濃いです

 

 

上記の本はどちらもAudible (オーディブル) - 本を聴くAmazonのサービスで聴くことが出来るので、通勤中なんかに耳で聴くのもいいのかなと思います

 

人には視覚で刺さる人と聴覚で刺さる人がいるようなので、読むのが苦手な方は読書を目でするものではなく、耳で聴くものにすることで効率がグッと上がるのではないでしょうか

 

もちろん「ハッタリの流儀」もさらっと読めるページ数なので、ホリエモンの本をまだ読まれていない方には入りやすいのかなと思います

 

先行きの見えない不安を乗り切るための確率論的思考法

田渕直也著「確率論的思考」を読みました

 

この本の作者である田渕直也さんは金融のプロです

 

株といった投資をやられている方は聞いたことがあると思いますが、株やFXの上がり下がりはランダムウォークだと言われています

 

ランダムウォークとは、株価の上がり下がりは偶然性や不確実性のものが影響を与えているため、誰にも未来の予測は立てられないというものです

 

確率論的思考を説明する前に、真逆の考えである非確率論的思考は何かというと「二元論」「結果論」「努力万能論」です

 

非確率論的思考とは、0か100かという考えや結果で全てを判断、成功は努力をした結果であるという、事象がハッキリと分かっているものです

 

反対に確率論とは、偶然性や不確実性を考慮に入れた上で、世の中には100%確実な事はないという考え方です

 

70%で成功する可能性のあるものは、30%で失敗する可能性もあるのです

 

未来の予測なら確率論は分かりやすいと思いますが、現状起こっていること

 

例えば、プロジェクトを成功させたAさんと失敗したBさん。この1文だけを読むとAさんが成功者のように思えますが、実はAさんよりもBさんの方が堅実で計画的にやっていたにも関わらず、全く予期しない出来事(コロナなど)によりプロジェクトが上手くいかなかったのかもしれません

 

もし、非確率論的思考でいくと、二次元論だと成功か失敗という視点になり、結果論だと成功したAさんが称えられ、努力万能論でいくとBさんの努力が足りなかったという風に判断されてしまいます

 

偶然や不確実な事はどんな状況でも起こりうると考えられれば、Bさんの失敗は確率論的思考で言えば成功する確率が高く、長期的に見ればBさんのやり方を推奨することが出来ます

 

失敗には許容できる失敗があり、確率論的思考は失敗する可能性を常に考えて行動するというものです。予期せぬ出来事が起こった時に、どれだけ正しい判断ができるのかが長期的な成功をするには欠かせません

 

確率論的思考は、短期的な成功よりも不確実な市場で生き残るための方法論を説いています

 

それが「多様性の確保」「失敗の許容と活用」「長期的視点」です

 

偶然性や不確実性が起こりうるこの世界で、確実・絶対的なものはありません

完璧な人間などこの世にはいないので、自分の意見を絶対視しないことが大切です

 

人は自分の特別だと思いたがる傾向にあるため、自分の考えを正当化しがちです

認知バイアスと呼ばれる考えの偏りが、マイナスをより大きくし、致命的な失敗を呼び込んでしまいます

 

企業でも人生でも傲慢にならずに、人の意見を素直に聞き、失敗を恐れず、例え失敗したとしても成功へのプロセスへと変えて、短期的な成功ではなく長期的な視点を持って忍耐強く物事に立ち向かうこと

 

その為には、0-100の考え方ではなく、全てに成功する確率と失敗する確率が含まれていることを意識することが大切です

 

自分の判断は認知バイアスにより正当化しているかもしれないと、俯瞰的に客観的な視点を持って多角的な視点を持つように意識する

 

勝つ確率を100%に近づける努力をしながらも、必ず負けの要素が含まれている

例え勝率80%だとしても負ける確率は20%あるわけです

 

10回やったら8回は成功するかもしれないが、最初の1回で2回の失敗が来る可能性はあります

 

大切なのはこの10回中2回しかこない失敗が来た時にどのように考えるのか、どのように対処するのか

 

失敗を許容し、活用することができるのか

 

エジソンは1万回の失敗は1万回ダメな方法を試すことが出来たと言ったとされています

100%の成功があり得ないなら試行錯誤して限りなく成功に近づけるしかありません

 

 先行きが見えない世界では、何が成功で何が失敗か分からなくなる時があります

不安な中で人がとりがちな行動は現状維持です

 

現状維持バイアスに陥るとその場から動けなくなり、例え失敗の色が濃くなってもその場から動けなくなってしまいます

 

「リスクを取れ」という言葉をよく聞くようになりましたが、リスクを取るというのは危険をかえりみずに行動しろ!という意味合いではなく、成功と失敗は両極にあるのではなく、成功の果てに失敗はありますし、失敗の果てに成功があることを知るということです

 

短期的な結果だけではなく、長期的視点に立って物事を考える

 

失敗と成功を繰り返しながら試行錯誤し、最終的に行きつく先を意識することが大切です

 

100%の成功も100%の失敗もないという事が意識できれば、新しいことを始めるのもこれまでよりも少し軽い足取りで迎えることができるかもしれませんね

 

 

 

宇野常寛著「遅いインターネット」を読んで

宇野常寛著「遅いインターネット」を読みました 

 

この本は、本という形式をとった提案書になっています

 

なぜこの時代に「遅いインターネット」が必要なのか、この時代とどのような向き合い方をするのがいいのか

 

まだ答えが出ない中での提案書

 

情報革命が起こり「速いインターネット」により、生活そのものが変化した時代

情報革命以前と以後の世界を両方とも体験している我々が、以前の世界から脱却しつつも現代社会の波に飲み込まれずに生きていく提案

 

もはや日常の中心にある「インターネット」との向き合い方、現代社会がどのような対立軸で形成されているのか、また20世紀「映像の世紀」から21世紀「インターネットの世紀」に時代が移り、我々の日常がどのように変化したのか

 

時代とインターネットと日常を客観視して、自分たちが現在どのような立ち位置にいるのかを改めて見直すきっかけになる本

 

古い枠組みから新しい枠組みへと移行している中、過去を否定するのではなく、過渡期であることを意識して、新しい枠組みを受け入れること

 

そして、想像以上に我々はインターネット・SNSに無意識的な依存をし、変化を変化と感じないままに生きている

 

「遅いインターネット」は、情報という大きな波に飲み込まれないための灯台になるほんではないかと思います

 

無意識的な変化を表装意識にすくい上げ、意識的なものへと変えていく

世界を直接触れる感覚を身につけるために

 

この本を読んでいて、ふと頭によぎった本

安部公房著「死に急ぐ鯨たち」

 

 

91年に書かれた本とは思えないほどに、現代社会に当てはまる内容が多く書かれています

 

三権分立ではなく四権分立にして、教育を司法行政立法から切り離すという提案・国家の在り方、文明の在り方が書かれた本

 

「遅いインターネット」と「死に急ぐ鯨たち」

 

速すぎる時代の流れの中、現代を生きる我々の指針になり得る本と出会いませんか?