読書タイムイズマネー

読書で学んだこと体験したことをブログで綴ります

先行きの見えない不安を乗り切るための確率論的思考法

田渕直也著「確率論的思考」を読みました

 

この本の作者である田渕直也さんは金融のプロです

 

株といった投資をやられている方は聞いたことがあると思いますが、株やFXの上がり下がりはランダムウォークだと言われています

 

ランダムウォークとは、株価の上がり下がりは偶然性や不確実性のものが影響を与えているため、誰にも未来の予測は立てられないというものです

 

確率論的思考を説明する前に、真逆の考えである非確率論的思考は何かというと「二元論」「結果論」「努力万能論」です

 

非確率論的思考とは、0か100かという考えや結果で全てを判断、成功は努力をした結果であるという、事象がハッキリと分かっているものです

 

反対に確率論とは、偶然性や不確実性を考慮に入れた上で、世の中には100%確実な事はないという考え方です

 

70%で成功する可能性のあるものは、30%で失敗する可能性もあるのです

 

未来の予測なら確率論は分かりやすいと思いますが、現状起こっていること

 

例えば、プロジェクトを成功させたAさんと失敗したBさん。この1文だけを読むとAさんが成功者のように思えますが、実はAさんよりもBさんの方が堅実で計画的にやっていたにも関わらず、全く予期しない出来事(コロナなど)によりプロジェクトが上手くいかなかったのかもしれません

 

もし、非確率論的思考でいくと、二次元論だと成功か失敗という視点になり、結果論だと成功したAさんが称えられ、努力万能論でいくとBさんの努力が足りなかったという風に判断されてしまいます

 

偶然や不確実な事はどんな状況でも起こりうると考えられれば、Bさんの失敗は確率論的思考で言えば成功する確率が高く、長期的に見ればBさんのやり方を推奨することが出来ます

 

失敗には許容できる失敗があり、確率論的思考は失敗する可能性を常に考えて行動するというものです。予期せぬ出来事が起こった時に、どれだけ正しい判断ができるのかが長期的な成功をするには欠かせません

 

確率論的思考は、短期的な成功よりも不確実な市場で生き残るための方法論を説いています

 

それが「多様性の確保」「失敗の許容と活用」「長期的視点」です

 

偶然性や不確実性が起こりうるこの世界で、確実・絶対的なものはありません

完璧な人間などこの世にはいないので、自分の意見を絶対視しないことが大切です

 

人は自分の特別だと思いたがる傾向にあるため、自分の考えを正当化しがちです

認知バイアスと呼ばれる考えの偏りが、マイナスをより大きくし、致命的な失敗を呼び込んでしまいます

 

企業でも人生でも傲慢にならずに、人の意見を素直に聞き、失敗を恐れず、例え失敗したとしても成功へのプロセスへと変えて、短期的な成功ではなく長期的な視点を持って忍耐強く物事に立ち向かうこと

 

その為には、0-100の考え方ではなく、全てに成功する確率と失敗する確率が含まれていることを意識することが大切です

 

自分の判断は認知バイアスにより正当化しているかもしれないと、俯瞰的に客観的な視点を持って多角的な視点を持つように意識する

 

勝つ確率を100%に近づける努力をしながらも、必ず負けの要素が含まれている

例え勝率80%だとしても負ける確率は20%あるわけです

 

10回やったら8回は成功するかもしれないが、最初の1回で2回の失敗が来る可能性はあります

 

大切なのはこの10回中2回しかこない失敗が来た時にどのように考えるのか、どのように対処するのか

 

失敗を許容し、活用することができるのか

 

エジソンは1万回の失敗は1万回ダメな方法を試すことが出来たと言ったとされています

100%の成功があり得ないなら試行錯誤して限りなく成功に近づけるしかありません

 

 先行きが見えない世界では、何が成功で何が失敗か分からなくなる時があります

不安な中で人がとりがちな行動は現状維持です

 

現状維持バイアスに陥るとその場から動けなくなり、例え失敗の色が濃くなってもその場から動けなくなってしまいます

 

「リスクを取れ」という言葉をよく聞くようになりましたが、リスクを取るというのは危険をかえりみずに行動しろ!という意味合いではなく、成功と失敗は両極にあるのではなく、成功の果てに失敗はありますし、失敗の果てに成功があることを知るということです

 

短期的な結果だけではなく、長期的視点に立って物事を考える

 

失敗と成功を繰り返しながら試行錯誤し、最終的に行きつく先を意識することが大切です

 

100%の成功も100%の失敗もないという事が意識できれば、新しいことを始めるのもこれまでよりも少し軽い足取りで迎えることができるかもしれませんね