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尾原和啓著「ITビジネスの原理」―ネットコミュニティの中心は日本へ

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尾原和啓さんの「ITビジネスの原理」を読みました

 

尾原さんを知ったきっかけは、youtubeのトップページに尾原さんの10分対談があったからです

 

始めは尾原さんというより対談相手の前田裕二さんや落合陽一さん、佐渡島庸平さんに興味があって聞いていました

 

話を聞けば聞くほど、尾原さんの知識の豊富さや知的センス・考え方が面白く著書を手に取りました

 

 

尾原和啓とは

 

マッキンゼー・リクルート・ドコモ・グーグル・楽天etcと10回以上の転職を繰り返している方です

 

勤めている会社名を見れば分かる通り、一般的な転職とは違います

 

尾原さんの転職は夏野剛さんと近い信念でのもので、「自分がやりたいことを実現できる」会社へと移っていく

 

私たちの感覚だと、グーグルに入ったら辞めないだろうし、グーグルから楽天へと転職するなんて…という感じです

【関連記事】

夏野剛著「1兆円を稼いだ男の仕事術」はハートが熱くなる本だった

 

 IT業界のトップ企業で走り続けてきた尾原さんが語る「ITビジネスの原理」は、私たち日本人にとって希望となるものでした


こんな方にオススメ

  • IT業界で働いてみたい方
  • ネット業界の歴史や未来を知りたい方
  • 最先端を走る人の思考を知りたい方


ITビジネスの原理とは

 

ビジネスの基本原理は価値の低いところ(安価)で買い、価値の高いところ(高価)で売る

 

仕入れ値と売値の差分が利益になる

 

これはITビジネスだけでなく、一般的なビジネスでも言えることです

 

尾原さんは京大時代に使われなくなったバスを京都のバス会社からタダで仕入れ、東南アジアに60万円で売っていたそうです

 

こういった商売はネットの発展により難しくなりました

 

尾原さんのビジネスが成立していたのは

  • 京都のバス会社が東南アジアで需要があることを知らなかった
  • 東南アジアのバス会社が日本ではタダ同然のバスだということを知らなかった

 

つまり、情報がなかったから成立していた商売だからです

 

ネットは「時間」「空間」を無くし、世界中をつなげ情報を瞬時に届けられるようにました

 

京都のバス会社も東南アジアのバス会社もネットで情報を募れば、お互いにとってメリットになる情報が得られます


ネットビジネスとはユーザーと企業とヒトをマッチングすること

 

例として上げられていたのは、転職サイトのリクルートです

 

リクルートは転職希望者に転職のノウハウや情報を与える変わりに、個人の情報を集めて、必要とする企業に売っています

 

グーグルも同じです。ユーザーの検索情報を集めて広告に活かしています

 

また、課金サービスについても触れられています

  • 100円ライターの理論
  • 課金プラットフォーム
  • 日本の課金ビジネスの規模
  • 北風的な課金と太陽的な課金etc

 

課金サービスにご興味ある方はぜひ本書をお読みください。

 

 ネットで世界は細分化されていく

 

これまでは「時間」の制約(子育て中や物理的な移動距離)によって、空いた時間を使って仕事をするということができませんでした

 

インターネットは「時間」と「空間」を限りなくゼロに縮めました

 

クラウドソーシングにより家にいながら仕事を空いた時間に受けられるようになります

 

また、初音ミクのようにタスク(作業)の細分化が行われていきます

 

初音ミクは作詞・作曲・振り付け・映像制作と別々の人たち(得意な分野)によって制作されています

 

そして、歌ってみたや踊ってみたというように、作曲の価値・振り付けの価値が生まれていきます

 

ネットは世界を細分化していきます

 

尾原さんは「粒度」が小さくなると表現しています

 

サイト→記事→ツイッターというように、情報の粒度も小さくなり、必要な情報をより直接的に受けられるようになっています

 

モノを売るか、物語を売るか

 

尾原さんがグーグルから楽天に転職した理由が「モノを売るか、物語を売るか」にあったそうです

  • アマゾン―モノを売ることに特化している。均一化。
  • 楽天―モノではなく物語を売っている―個性化

 

アメリカと日本を考えた時に、均一化と個性化は逆のようなイメージがありますが

合理的なアメリカに比べて日本はそのお店で買う理由に価値を見出します

 

モノを売ることに特化すると価格競争が起こり消耗戦になってしましますが、物語があればオンリーワンになっていくことができます

 

物語を売るということは前田裕二さんの「人生の勝算」やキンコン西野さんの「革命のファンファーレ」に詳しく書かれています

【関連記事】

前田裕二著「人生の勝算」を読んでー人生にやる気を出すために読む本は?

キンコン西野著「革命のファンファーレ」-スマホ時代を生きるために全力で踊る阿呆になろう

尾原さんは日本的な感覚にITビジネスの進む道を見出しています

 

また、尾原さんはアメリカでインターネットが生まれたことが不幸だと言っています

  • アメリカはローコンテクスト
  • 日本はハイコンテクスト

 

コンテクストとは

コミュニケーションの基盤である「言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性」などのことです

 

日本は単一人種の国なので、共通項が多くあり「阿吽の呼吸」が成り立つ国です

 

アメリカは多様な文化・人種の国なので、言語で説明しなければコミュニケーションが成立しない国です

 

言語的なコミュニケーションが「ネットの世界」でも成立しています

 

ただ、ハイコンテクストな国は日本以外にも沢山あるそうです

 

そういう国にスマホやタブレットが広がっていくことで、土着の言語と文化に根付いたコミュニティとなり、ハイコンテクストな人たちが主要なユーザーに変わるそうです

 

そうなってくると、英語もマイノリティーに変わります

 

そして、これからは非言語化によるコミュニケーションに変わっていきます

 

日本社会は日本語が話せない外国人旅行客にとって、非常に過ごしやすい国だそうです

 

なぜかというと、言葉ではなくイラストやアイコンを見て、必要な情報が得られるからだそうです

 

レジには金額が表示され、空港でのトイレや食事場所も言葉が分からなくても困ることはありません

 

日本でLINEが取り入れられた理由にスタンプの存在を上げています

 

日本が誇る文化にマンガ・アニメがあります

 

マンガはまさに非言語的なコミュニケーションツールです

 

ハイコンテクストな日本は無理にローコンテクストの国をマネしようとしなくてもいいのです

 

日本がネットビジネスの主役になるために

 

ここからは私の感想になります

 

ネットビジネスでアメリカや中国に大きな後れを取った日本が、ITビジネスでまだ可能性があるとは思いませんでした

 

ただ、日本が抱えている問題は教育や社会といったビジネスを成立させる土台にあります

 

アメリカに右にならえで、合理的主義の道を歩む必要はないと思います

 

ただ、時代をアップデートできていない日本では、やはりITビジネスでアメリカには勝てないのではないかと思います

 

会社を家族とみなすことはいいことだと思いますが、なぜか未だに家父長制の家族です

 

自立した大人たちが集まっている会社で、近代的な「家父長制」ほど無意味なものはありません

 

家族は子供たちが大人になり自立した後の「家族」であるべきです

 

落合陽一さんがよく言っている「脱近代」と「欧米思想」の呪縛から抜け出し、日本2.0にならなければ、尾原さんのおっしゃる世界でも日本は主役にはなれないだろうなと思います

 

時代は変わりました

 

もう会社の飲み会にイヤイヤ付き合う必要はないのです!

 

無駄な時間を消費することが大人だと思っていること自体がもはや過去の遺物なのですよ!!

 

お供にしたいBGM

ビジュアル系バンドって私の中ではザ・ジャパニーズなんです

 

夭折してしまった天才「hide」を聞きながら世界の中心で日本を想う

 

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