堀江貴文著「なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?」を読んで
堀江貴文著「なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?」を読みました
この本はJリーグアドバイザーである堀江貴文氏と宇佐美貴史・川島永嗣・遠藤保仁・宮本恒靖・森保一という5人のサッカー人との対談本です
この本は一流のサッカー人が何を考えているか、どういうマインドで、どういう風に課題と向き合っているかが分かる本です
ただ、一般的なサッカー対談と違う点は、対談相手がホリエモンなのでビジネス的な視点での話が多く、話のメインが今後のJリーグをどうしていくかになっています
この本が発売されたのが2016年
ダゾーンとの契約前で、神戸にポドルスキーが来る前に発売された本です
その点を踏まえて、この本を読むと堀江貴文氏のビジネスにおける先見の明の確かさがよく分かります
三木谷会長もこの本を参考にしたのでは?と思える内容ですし、この本に書かれた人気チームをつくるためには?を実践しているのが、神戸と鳥栖と長崎ですかね
長崎は微妙に外れますが、IT系の会社がメインスポンサーの会社だというのが面白いなと思います
この本の中で、堀江氏が提唱しているリーグ全体を盛り上げるために必要なものは
「臨場感あふれるスタジアム」「スター選手」「ITメディアの活用」
この3つだそうです
また、これからはアジアが世界経済の中心になっていくということから、東南アジアや中国マーケットを取り込むことを提唱しています
アジアでプレミアリーグの人気があるのは、戦略的にプレミアがアジアに売り込んだからだそうです
アジアにおいて、日本サッカーはまだ最上位に位置していて優位性がありますし、Jリーグは魅力的なコンテンツです
今のうちに、アジアを取り込む戦略をしないといけないという危機感が堀江氏にあるようです
確かに日本国内の経済の低迷と少子化を考えれば、経済的にも人口的にも伸びているアジアを取り込むのは、Jリーグの生き残り戦略になるのかなと思います
コンサドーレ札幌にいるチャナティップがレギュラーで大活躍している成功例が出てきたので、ビジネス的に可能性があるなら、他チームも積極的に採用していく流れになるのかなと思います
ちなみにチャナティップが日本に来たのも、この本が発売された後ですね
ただ、コンサはレコンビンといった東南アジアの選手を獲得していたので、野々村社長にも先見の明があったんだろうなと
堀江氏が提唱している「臨場感あふれるスタジアム」「スター選手」「ITメディアの活用」の内、「臨場感あふれるスタジアム」に関して、大構想を立ち上げたのが長崎ですね
長崎は新スタジアム構想で、ホテルを併設したりショッピングモールを作ったりといった一大アミューズメントを掲げています
これは野球やメジャーリーグサッカーといった成功例を元にした構想ですので、成功例を取り入れてビッグビジネスにしようとするあたり、さすが高田社長だなという印象です
そして、「スター選手」はいわずもがな神戸と鳥栖です
イニエスタなんて、ほぼどこのリーグでも通用する実力を兼ね備えたまま来ちゃいましたからね
最後の「ITメディアの活用」は正直どのチームが強いかよく分からないですね
イメージ的にフロンターレはよく選手がSNSを活用しているなというイメージ程度です
Jリーグサポは、自分が応援しているチームがこの3つにどれくらい当てはまっているかを考えるのも楽しいと思います
「臨場感あふれるスタジアム」はヤマハスタジアムは専スタなので、臨場感はありますね
ただ、スタジアムそのものが小さいというのが難点ですね…1万5千人のキャパなので、せめて2万は入るスタジアムになればいいのかなと思っています
ヤマハスタジアムの規模拡張を願います
2つ目の「スター選手」は、日本人選手で中村選手と大久保選手という日本トップクラスのスター選手がいます
イニエスタやダビド・ビジャと比べると劣りますが、スター選手の獲得はチーム力強化とともに「経営戦略」を考えていたのかなと思います
そして、なにより名波浩というレジェンドを監督で迎えたことで、ホームは常に満席になるようになりました
今の段階でスタジアムは満席になっているので、ジュビロ磐田は「スタジアムの拡張」が集客アップのためにも急ピッチで進める必要があるのかなと思います
3つ目の「ITメディアの活用」はハッキリ言って下手だと思ってます
ここが下手だということは運営が、サポーターやライト層が何を求めているか理解していないということの表れではないかと
ITメディアを上手く活用できるチームは運営とサポーターの距離が縮まる事にもつながるので、Jリーグクラブはもっと積極的に活用すべきですね
また、育成面への話も多く触れられていて、堀江氏の包括的な視点が素晴らしいなと
Jリーグクラブが高校を運用すればいいというのは、素晴らしい発想ですね
専門性に特化することができれば、唯一無二のユースになります
堀江氏自らもゼロ高を立ち上げたので、クラブが高校を運営するというのもあながち遠い未来ではないように思います
5人のサッカー人との対談を読んでいて、堀江氏含めて6人に共通している点が、課題を客観的に見ている点です
課題を主観でしか見られない人たちは、課題に感情が移ってしまうので、解決までの道のりをロジカルに考えられなくなってしまいます
巨大迷路を上空から見られれば迷うことがないのに、迷路の中にいる視点でしか見られないから迷うという
課題を俯瞰的にみているというか、メタ認知能力が高いというか
後はそもそも自分のどこが課題なのか客観的に見ています
だから、課題を解決するための道のりを努力と思わないということです
この点は一流に共通するメンタルだなと思います
この本はサッカーがどれくらい好きか、特にJリーグにどのくらい思い入れがあるかでも、読み手の視点がかなり変わってくる本です
自分はサッカー人の話よりも堀江氏の先見の明への驚きが大きかったです
サッカー人には特にオススメの本ですね