読書タイムイズマネー

読書で学んだこと体験したことをブログで綴ります

何度も読み返した3名の小説家ー川端康成・京極夏彦・安部公房ー 

今年に入って興味の対象が現実に変わったため、読む本も小説から経済本やコラムなどに変わっています

 

コルクラボ代表の佐渡島庸平さんが、「本は情報を手にするために読んだことは一度もなく、自分を見つめるために読んでいる」というようなことを仰っていました。

 

私が本を読む理由は、自分の世界観を広げるためです

 

なので、色々なジャンルの本を読むよりも、同一ジャンルの本や同じ作者の本を連続で読み、その人の考え方や世界観を含めて、本を読みます

 

以前は、実用書はほとんど読んだことがなく、ひたすら小説を読み続けていました

 

小説は好きになった作者の本を、出版されているものを読みつくすまで読みます

 

この読み方のいいところは、作者の書くリズムが分かるようになり、読めば読むほどスピードが早まることと、世界観に入りやすくなるところです

 

初めて読む作者の方の本は、引っかかりが出てしまいリズムよく読むことができません

 

藤沢周平さんや司馬遼太郎さんといった大御所の方の本を読むと、数年読み続けなくてはならなそうなので、躊躇している今日この頃です。

 

20代の頃に読み続けた小説家で、これまで何度も繰り返し読んでいるのは以下の3人です

 

・川端康成

・京極夏彦

・安部公房

 

川端康成

 

雪国 (新潮文庫 (か-1-1))

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川端康成先生は、最も美しい日本語を操る作家さんです

 

雪国の冒頭を読むだけで、視点の変え方や時間の飛ばし方といった小説的手法を、これでもかというくらいに言葉をそぎ落として、シンプルにしています

 

ここまでシンプルな文体で、なぜ透明な小春日、麗らかな清流といった雰囲気の文章を書けるのかが、不思議でならない程、美しいです

 

もし、キレイな日本語を使えるようになりたい方は、川端康成先生の本を読みこみ、文章をマネていくことをオススメします

 

ノーベル文学賞を受賞された大先生で、どこか古く硬いイメージがあるかもしれませんが、ストーリー自体はスペクタクルでジェットコースターではなく、日常を切り取りながらも、どこか退廃的な雰囲気がするストーリーが多いです

 

眠れる美女 (新潮文庫)

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眠れる美女は、もう男として機能しなくなった老人が、睡眠薬を飲んで寝ている若い子と一夜を共にする話です。ただ、主人公は頑張れば機能するというところで葛藤する話です

 

これで卑猥な日本語だったら悲惨な内容になるだろうなと思いますが、こんな話でも川端康成先生の日本語で書かれると、純文学になり得るところが素晴らしいです

 

京極夏彦

 

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

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京極夏彦先生の特徴はとにかく長い独特な言葉遣いですね

 

榎木津探偵シリーズと巷説百物語シリーズが有名ですが、この2つのシリーズを読み切るだけで2年くらいかかります

 

物語の1つ1つにとにかくボリュームがあります

 

京極夏彦先生はストーリーの緻密さが、他の作家さんに比べて群を抜いています

 

上記にあげた絡新婦の理の話の展開は、先が読めなさすぎて序盤早々に諦めました

 

とにかくただただ展開されていくストーリーを驚きながら読んでいきます

 

ちなみに「絡新婦の理」は榎木津探偵シリーズで連続殺人事件の話です

 

このシリーズの殺人には呪詛がこめられています。その呪詛から言葉という呪術を使って解き放つのが榎木津探偵シリーズです

 

犯人を探し出し、捕まえることが目的ではありません

 

また、地の文と口語文の組み合わせが絶妙で、会話から地の文へと続く文脈が地続きになっているところも特殊ですね

 

この文章はクセになります

 

虚言少年 文庫版 (集英社文庫)

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上記の本は、ここまで書いた京極夏彦先生の良さをそこまで活かしていない作品ですが、とにかく面白いです

 

この話は、バカなことを思いついたら、やらなければ気が済まない。バカなことをそれもクラスで目立たずに行うことに命を燃やしている少年たちの話です

 

とにかく面白く、とにかく笑えます

 

京極夏彦先生は榎木津探偵シリーズと虚言少年をセットで読むと、話の幅の広さと才能の恐ろしさに気づくと思うのでオススメです

 

安部公房

砂の女 (新潮文庫)

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安部公房先生の作品ほど、頭が混乱しながら読んだ作品はありません

 

初めて読んだ小説は「密会」という小説だったのですが、終始「なんだこれ?」が頭の中を巡り続けていました

 

安部公房先生の作品を読んでいると、文字を読んでいるよりももっと生々しい感覚に襲われます。目で読んでいるはずなのに、皮膚感覚で物語を感じられる作家さんは初めてでした

 

安部公房先生は、文字というデジタルを使ってアナログ的(5感)な感覚を、読み手にフィードバックさせるという手法にチャレンジした唯一無二の作家です

 

私が混乱した皮膚感覚の文章というのは間違っていなかったということです(自慢)

 

ストーリーの奇抜さもさることながら、レトリックも群を抜いています

 

安部公房先生は1ヶ月に1文しか進まないことがあり、登場人物がその時にしか感じられない感覚を見つけ続けていった作家です

 

書き始めるとほとんど寝なかったそうで、どれだけの熱狂なんだと

 

吉田松陰も安部公房先生の働きをみたら「君は狂っている」と言ったに違いありません

 

ここまで狂気じみた作業を繰り返したからこその名作が山ほどあります

 

第四間氷期 (新潮文庫)

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安部作品の中で最も読んだのが「第四間氷期」です

 

完全に小説の中で時代のパラドックスが始まっており、何回読んでも読み飽きることがありません。なぜなら、リアルな別世界の話を読んでいるからです

 

現実世界のリアルなパラドックス

 

第四間氷期のラストに描かれた世界が、実は本当に存在しているのではないかとひそかに思っています

 

というわけで、初めて小説について書いてみました

 

他にも、筒井康隆先生や長野まゆみ先生、森見登美彦先生、よしもとばなな先生など紹介したい作家が多くいるので、また書いていたいと思います