高木徹著「戦争広告代理店」は事実と真実の違いを知る良書
高木徹著「ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争」を読みました
この本はボスニア紛争時に、PR企業がどのような戦略を取り、ボスニア紛争に関心のなかったアメリカの世論を動かし、味方につけていき、世界各国を動かしていったのかが描かれています
この本を読む前と後とでは、メディアが報じている情報が真実かどうかが疑わしく感じられてしまいます
今クール「ブラックスキャンダル」というドラマが放送されています
このドラマは芸能界で事務所側の暗躍により、無実の不倫報道をされてすべてを失った女優による復習が描かれています
ブラックスキャンダルで描かれているのは、意図的に仕組まれた虚偽です
「戦争広告代理店」で描かれているのは、事実を拡大し、虚偽ではないギリギリのところで世論に訴えかけるという、プロのPR企業による情報操作です
セルビア人とムスリム人とクロアチア人の人種が複雑な歴史の下で生まれ出た悲劇です
本来なら、一方的な悪も一方的な善もありません
どちらも同じような方法で攻撃し虐待や殺戮を繰り返していたはずです
ただ、この紛争は結果的にセルビア人が絶対的な悪となり、国際的な世論がムスリム人に味方される形となりました
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メディアは事実はあっても真実はない
メディアに真実はないと言い切ることはできませんが、事実の誇張や誰かにとって都合のいい事実があり、メディアの報道がどんな視点で報じているのかが分からない以上、真実かどうかが確かめられないというのが実情です
報道されているのが、ネットでもテレビでも変わりありません
日本のメディアでも現地のメディアでも変わりありません
インターネットで世界が繋がったことで、グローバル化が起こりました
ボスニア紛争は90年代前半で、まだネットが一般的ではない時代でもPR企業の暗躍がある以上、情報社会といわれる現代で、情報操作が軽視されるはずがありません
このブログで、言葉の持つ力の強さを、この本を例にして紹介しました
→我々は言葉という呪詛を使って生きている
映像メディアの露出には、より効果的な演出がなされています
PR企業が演出し、言葉も態度も訓練されています
人の感情を効果的に動かす言葉や間や表情が自然な振る舞いにできるよう演出されています
「戦争広告代理店」で、世論を動かす効果的だった言葉として紹介されていたのが
言葉には力があり、人の感情を動かします
そして、力のある言葉を最大限の効果で発揮できるよう戦略立てているのが、プロのPR企業です
プロPR企業が仕組んだ戦略を、一般人が見抜くことは不可能だと思います
ある状況やある現象について、相対的な視点を持つことができれば、自分なりの判断がつきますが、1つの視点だけの情報しか得られないなら、その情報のみで判断をつけることができません
アイデアのつくり方のバイブル書「アイデアのつくり方」でも、アイデアを生み出す第一段階で「情報を徹底的に収集する」と書かれています
→ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」はシンプルなバイブル
正確な情報を得たいのなら、徹底的に情報収集をすることです
情報収集を怠り、多角的な視点を持たずに判断すると、とんでもない損害を被ることもあります
その典型的な例が積水ハウスの55億円詐欺ですね
客観的な視点を欠いて、思い込みによる判断で情報収集を怠った結果が歴史に残る詐欺の被害にあってしまいます
イノベーターと呼ばれている、社会そのものを変革していく人たちは、情報収集能力の高さと、得られた情報から、仮定し実行に移すスピードがとんでもなく早いです
一見するとイノベーターは未来を予測しているように思えてしまうのですが、実はその人たちからすると未来ではなく現在が一般人よりも拡張されているにすぎません→時代の流れに乗るために必要な視点は「今」
情報に真実が無ければ、どのように判断すべきなのでしょうか?
自分で考えることの大切さ
情報を徹底的に収集したとしても、その情報を正しく使えなければ意味がありません
「アイデアのつくり方」では、第二段階で「情報を咀嚼する」と書かれています
情報を自分のものにするということは、自分で思考し言語化するということです
情報だけでの判断ではなく、自分で考えて言語化できるようになること
人は普段から考えているようで、考えていないと言われています
ほとんどの人の「考えている」は「悩んでいる」
悩みとはAかBかという選択を迫られた時や実行に移す段階で起こりやすいです
ほぼ、最終段階の状況だということです
考えることは悩みではなく、もっと本質的なものです
選択するために、根本的に必要なことを考えることです
これが正解というわけではないですが、ボスニア紛争の場合、どちらが善でどちらが悪かとう二次元論ではなく、世界平和を実現するにはどうしたらいいのかを考えるということです
なぜなら、ボスニア紛争に正解も不正解もないからです
とはいっても、ボスニア紛争のように国際的な世論が沸騰してしまっては、国のトップたちはなんらかの選択をしなくてはいけない状況に迫れらます
逆にそのような状況まで、世論を持って行ったことがPR企業の仕事でもあるわけです
いま、私たちは過去最多の情報に囲まれて生活しています
ネットで調べれば、ほとんどの必要な情報を見つけることができます
ただ、情報は真実ではなく、ましてや事実でもないかもしれません
現代人には、情報を見極める能力が求められているように思います
そのために、どうすべきか
情報とは何かを徹底的に考えるということが必要です
そして、多くの考え方に触れて、多角的視点を得るためにも、読書をしてアウトプットすることをオススメします→記憶が蘇るあの鮮明な瞬間ー読書を記憶に紐づけるには?
オススメの読書法
特に書評ブログを書いてアウトプットする時間がない方で、本の内容を記憶しておきたい方には、耳で聴く読書をオススメします
先にも書いたように、耳で聴くことにより朗読者の声や感情、さらにその本を聴いている時の状況と、本の内容を紐づけることができます
記憶に残る=自分の身になる状態は、意識しないで自然と振舞える状態です
本の内容を思い出しながら生活している内は、まだ身についているとは言えません
文字は記号=デジタルであり、体験はアナログです
文字で記憶するということは、デジタル記号で入力し、アナログに変換して出力するということです
それに比べて、耳で取り入れる音は人の声というアナログも同時に取り込めるので、アナログに変換するという作業が無くなる分、ダイレクトに記憶と直結します
耳で聴く読書のサービスでオススメがAmazonのAudible(オーディブル)です
もはやAmazonについての説明はいらないですね
Amazonの黎明期を支えたのが、本屋さんでは扱えないマイナーな本たちだといいます
自分たちの会社を支えてくれた本に対するAmazonの想いはいかほどか
このAudileで明らかになるのではないかと思います
耳で聴く読書を推進しているサービスは他にもありますが、私はAmazonの本気が伺えるAudibleをオススメします
30日間無料で利用できるので、ぜひ体験してみてください
登録は3ステップで、アマゾンのアカウントをお持ちの方は簡単に終わりますし、アプリを落として利用できるのでとても便利ですよ