読書タイムイズマネー

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最果タヒ著「星か獣になる季節」を読んで平等とは何かを考える

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最果タヒ著「星か獣になる季節」を読みました

 

最果タヒさんの小説を読もうと思たきっかけは、最果タヒさんが著名人と対談した「ことばの恐竜」を読んで、特別な感性を持っている最果タヒさんが書く小説がどのようなものか気になったからです

 

【関連記事】
最果タヒ著「ことばの恐竜」を読んで 

 

この他の小説を読んでいないので分かりませんが、自分は怖い小説だなと感じました

 

小説の中で書かれている平等とは何か?という目線

 

人の生と死を平等に扱うということが果たして許さるのか

 

17歳という時期は「人間ではなくて星か獣になる」という本のタイトルになっている言葉が、この小説そのものを言い表しています

 

 

ザックリとしたあらすじ

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自分がファンの地下アイドルが殺人を犯したという情報を知り、実家に向かった主人公は、そこで同じクラスの森下と出会います

 

主人公はクラスカーストでは下の人間で、森下は上の人間

 

同じアイドルが好きという以外の共通点を持っていない2人

 

主人公はアイドルが見た目だけで、才能ではなく努力しないといけない凡人だということを、自分のアイデンティティにしている

 

森下はアイドルの子が好きだという理由で、その子が冤罪になるようにアイドルがやった同じ方法で、遺体を星型にして放置するという方法で殺人を犯していきます

 

森下はアイドルに恋心を抱いているわけではありません

 

ただ好きなだけです

 

そんな子のために、森下は躊躇せずに4人を殺します

 

主人公は森下の隣で、止めるわけでもなく、ただ森下の殺人を見守るだけで、自分も殺人に参加しようとしています

 

主人公はアイドルの事が好きなんだと思います

 

歪んだ恋心を

 

森下には小学校時代からの友達の青山がいて、青山を好きな瀬川という女性がいて、さらに森下のことが好きな田江田という、瀬川の友達がいる

 

それはクラスカースト上位に位置する人たちの、退屈な日常

 

その中心人物である森下が殺人を犯している事実を知っているのは、主人公のみ

 

殺人というショッキングな題材を扱いながら、小説の世界はとても澄んでいるほどに乾いています

 

この本は17歳という特別な時期を題材にしたからこそ書けたのか

 

17歳という時期をとうに過ぎた自分には酷く残酷であり、同時に17歳はやはり特別な時期だったんだなと実感しました

 

平等とは何か?

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この本には、主人公がアイドルに向けて送った手紙という形で、森下が行った殺人の事実が書かれた内容と、森下に殺されなかった瀬川と青山、そして森下に妹を殺された、森下と同じアイドル追いかけていた岡山の後日談の2編が収録されています

 

森下の行った事実が書かれた小説も面白かったですが、自分は後日談の残された3人の話が面白かったです

 

森下に執着していると言ってもよい青山が、週刊誌に森下の事について語ったところから話が始まります

 

青山は、森下がいい奴だといいます。誰へだてなく接し、誰に対しても平等だったと

 

だから、人の生き死にに対しても平等なんだと

 

殺す相手も特別な差異はなく平等に選んだ、と

 

だからこそ、なぜ自分が森下に殺されなかったのかが解せない

 

青山は、森下が人を殺したことよりも、森下に選ばれなかったことが悔しいという印象で、瀬川は、自分が森下に選ばれなかったという考えに行きついていませんでした

 

友達だろうが、恋人だろうが、クラスメイトだろうが、赤の他人だろうが平等に殺す対象に選ぶ森下

 

森下にとって、特別な人間がいなかったという事実に、青山はやり切れない

 

この小説を読んでいる人たちは、森下がなぜ青山を殺さなかったかを知っている状態で読んでいるため、青山のやり切れなさがより際立ちます

 

人を殺すというショッキングな出来事よりも、生きる上で大切なことがある

 

青山、瀬川、岡山の会話は誰も正しい訳ではなく、誰も間違っている訳でもありません

 

それぞれの立場から話をしている交わらない会話です

 

ただ、全員に共通するものは悲しみを抱いているということ

 

そして、その悲しみを癒すものは、どこにもないということです

 

小説の内容はショッキングな内容が書かれていますが、全体の落ち着いたトーンというか乾いた感じが、17歳という季節をより際立たせています

 

この小説を身近な人に薦めるかどうか……躊躇しますね……

 

あまりにも身近で、あまりにも遠い話に、読み終わった後、吐き気がするような、浄化されるような、混沌とした気持ちになりました

 

これこそが「星か獣になる季節」なのかなと……

 

 

オススメの読書法

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特に書評ブログを書いてアウトプットする時間がない方で、本の内容を記憶しておきたい方には、耳で聴く読書をオススメします

 

先にも書いたように、耳で聴くことにより朗読者の声や感情、さらにその本を聴いている時の状況と、本の内容を紐づけることができます

 

記憶に残る=自分の身になる状態は、意識しないで自然と振舞える状態です

 

本の内容を思い出しながら生活している内は、まだ身についているとは言えません

 

文字は記号=デジタルであり、体験はアナログです

 

文字で記憶するということは、デジタル記号で入力し、アナログに変換して出力するということです

 

それに比べて、耳で取り入れる音は人の声というアナログも同時に取り込めるので、アナログに変換するという作業が無くなる分、ダイレクトに記憶と直結します

 

耳で聴く読書のサービスでオススメがAmazonのAudible(オーディブル)です

 

もはやAmazonについての説明はいらないですね

 

Amazonの黎明期を支えたのが、本屋さんでは扱えないマイナーな本たちだといいます

 

自分たちの会社を支えてくれた本に対するAmazonの想いはいかほどか

 

このAudileで明らかになるのではないかと思います

 

耳で聴く読書を推進しているサービスは他にもありますが、私はAmazonの本気が伺えるAudibleをオススメします

 

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