読書タイムイズマネー

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「自分らしく生きる」という言葉の甘い誘惑

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SNSやネットを観ていると、「自分らしく生きる」という言葉がより多く使われるようになった印象です

 

「自分らしく」という言葉は、時代性のものと言いますか「年功序列・終身雇用制」に誰もが疑いの無かった時代では、あまり使われなかったのではないでしょうか

 

学生を卒業し、1つの会社を勤め上げ定年退職する

 

日本経済が右肩上がりで成長し、働くほどに豊かな生活になっていく

 

個ではなく社会全体が上を目指していた時代なら、「自分らしさ」が無くとも、経済的な豊かさが手に入りました

 

現代は社会全体が頭打ちになり、1つの会社に勤め上げたとしても給料が上がる訳ではなく、そもそも定年まで会社が存在するかも分からない不確実な時代です

 

既存の考え方では通用しなくなり、日本国内にいて日本人らしい働き方をしていれば大丈夫という時代はとうに終わりました

 

数年前まで頻繁に叫ばれていたグローバルスタンダードとは、国内のライバルだけではなくなり世界がライバルになった多様な世界です

 

そして、ネットの普及により社会全体が変革されたため、ITといった新たな産業が台頭した急激な変革の波に日本は完全に乗り遅れました

 

日本経済全体が自信を失っている現状で、個→全だった生き方が疑問視され、社会全体の流れに乗っても幸せになれないし、海外の生き方を見ると個を大切にしている、だから企業に属さず「自分らしく生きた方がいい」という考えになっていったのかなと

 

社会全体が「自分らしく」にシフトしておらず、実際に「自分らしく生き」ている人たちが少数派のため、「旧来の考え方VS自分らしく生きる」という二項対立が生まれてしまっているのかなと思います

 

確かに働き方という面で、自分らしく生きたいと願い、企業に属さない生き方を選択するのって、とりわけ特別な考え方ではないですし、企業に属して働いていこうというのも、普通の考え方です

 

働き方について、旧来の考え方でも新たな考え方でも、究極を言えば「賃金を得て、やりがいのあること」をできれば、どちらでもいいです

 

そもそも「自分らしく生きる」って何? 

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自分らしく生きると言いますが、そもそも「自分」というものを本当に理解しているのか?という疑問があります

 

今の自分が「本当の自分」ではないということです

 

または、「自由に生きること=自分らしさ」ということでもありません

 

本当の自分を理解し、本当に自分らしく生きていれるなら、型みたいなものは無いように思います

 

自分らしさ=個性であるなら、どんな環境下に置かれても自分らしく生きられるはずです

 

企業に属さずに個人で稼げるようになりたいというのは、現代的ですし、素晴らしい働き方だと思います

 

でも、個人で稼ぐこと=自分らしさではありません

 

それは、個人で稼ぐという生き方を選択しただけであり、企業に属して生きることと同じ次元の話です

 

インフルエンサーさんは、1つのジャンルです

 

自分らしく生きるために、会社を辞めてSNSで発信し、ブログを書きます!

 

うーん、なぜその生き方が自分らしいのか……それはそういう働き方を選んだというだけのことではないでしょうか

 

働き方と自分らしさってリンクはしていてもイコールではありません

 

リンクしているのは、社会に出てから最も時間を使っているのが働くことだからです

 

生きることがそもそも自分を成長すること

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哲学で「私を私だと思っている私とは何もの?」という永遠の命題があり、ヒマラヤ秘境では、本当の自分を理解すること=真理を悟ることとされています

 

「自分らしさ」と言いますが、そもそも想像以上に自分で自分のことを分かるのは難しいことですし、真に「自分らしさ」へと到達した人はこの世界でごくわずかです

 

【関連記事】
相川圭子著「思った以上の人生は、すぐそこで待っている」を読んで

 

自分らしさとは何かを探すために、働き方を変えてみます!

 

ということなら分かります

 

色々な経験をして、色々な感情を経験して成長するために、私はこういう働き方をしてみようと思う

 

なら分かります

 

この記事は「自分らしく生きる」ことを否定しているのではありません

 

自分らしくという言葉は思ってる以上に簡単に使える言葉ではないよ、ということが言いたいのです

 

個人で生きる生き方は、日本の現代社会においてはマイノリティーですし、その生き方を歩み出すという勇気は素晴らしいものですし、その行動力は称賛に値します

 

発言力のある方や著名なインフルエンサーさんは、自分らしく生きるという道で少し先を歩んでいる人かもしれません

 

そういう生き方に憧れて「守破離」の「守」つまり真似をすることは、成長するという過程で財産になります

 

また、憧れている人の生き方を学ぶだけでなく、色々なジャンルの本を読んだり、人に会ったりして、自分にはない考え方や視点を学ぶことも大切です

 

自分らしさは今の自分にはないものを探していくことでもあり、今までの自分が目を背けていたものに対して、真正面から向き合うことでもあります

 

自分を知るということは、一生かけても出来ない人というのが大多数なのです

 

自分らしさとは利他的であるということ

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自分らしく生きている人は、自分を客観的に掴んでいる人で自分自身に振り回されない人のことを言うのだと思います

 

ギブ&テイクではなく、ギブ&ギブの精神が大切と言われています

 

自分らしく生きようとすれば利他的になっていきます

 

テイクを求めるということは、どこかで相手をコントロールしたり、自分都合だったりします

 

自分都合で生きているということは、自分自身をコントロールできていない、自分自身に振り回されている生き方です

 

自分都合と自分らしさは似て非なるものです

 

自分の欲に自分自身が振り回されている内は、自分らしさとは違う地点にいます

 

喜怒哀楽といった感情を素直に出せることは、自然に生きていて素晴らしいことですが、感情に振り回されることは不自然な偏った状態です

 

だからと言って、いつも静かに笑っている人も、自分らしく生きてはいません

 

俗にいう「いい人」が人間的に成長しているという訳ではありません

 

自分にとって決して愉快ではない状況が起こった時に、周囲に原因を求めるのでは自分らしく生きられていません

 

自分の内に原因を求めて解決していくからこそ、自分を成長させられ、自分らしさに近づいていくのです

 

自分らしく生きることは、この世界を生きていく本来的な意味でもあります

 

まだ出会っていない本当の自分と出会うために、人生はあるのだと思います

 

今の自分が思っている「自分らしさ」は本当に「自分らしい」のでしょうか?

 

失敗を繰り返しながら、その都度に自分を見つめ直して、自分らしさを知っていくこと

 

自分らしく生きることは、つまり自分らしさを追い求める旅=人生です

 

自分らしく生きようと思うのなら、まずは今の自分を知るための内省を深めていくことが大切なのではないでしょうか?

 

自分らしく生きるために、自分自身を知る努力をしましょう

 

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